国語力(言語力)とは何ぞや?

2021/06/17

(このブログの内容)

1.はじめに

2.言語の役割

3.言語の長所と短所

4.「読解する」とは、どうすることなの?

5.条理(物事のみちすじ)の例

6.まとめ

 

 

1.はじめに

国語力の弱さは、全教科はおろか大人になっても人生をつまらなくしてしまう大きな原因になってしまいます。

人生がつまらなくてもいいんや、という人っていないと思います。人生はいきいき楽しいものにこしたことはありませんよね。

でも、国語力が致命傷になって人生がつまらなくなってしまうことがあります。国語国語といいますが、「言語力」という方がこのブログのテーマに合うから「言語力」ということにしますね。多くの先生やその他の人々が「国語は大切だよー」と言いますが、いまひとつわかったようで分からない国語力の大切さとは何なのさ?こんな疑問を持つ人は多いと思います。

そこで、本校のホームルーム(生徒みんなに伝えたいことをいっぺんに伝える機会のことです)で伝えたことを、書こうと思います。読んでもらった後に「言語力大切やなぁ」と思われて日々の学習や生活に活用してもらい、楽しい人生にしてもらえたら嬉しいです。

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2.言語の役割

言語の役割はだいたい14個のことを伝えることです。暗記すべきとは思いませんけども、覚えておくと文章の分析に役立ちます

①主体 ②客体 ③動作・状態・様子・間柄 ④時期 ⑤場所 ⑥手段・方法・道具 ⑦原因 ⑧結果 ⑨理由 ⑩結論(主張) ⑪共同行為者の有無 ⑫意思・価値観・思想・趣向 ⑬条件 ⑭天候

 

文章は、原則としてAからCの3個が備わっていないと成立しません。このルールはどんな国や時代においても共通します。

A.①主体 ②客体

B.③動作・状態・様子・間柄

C.⑦原因と⑧結果、⑨理由と⑩結論(主張)

★ちなみに数学も言語の1つですよ。ということは、言語力がないと・・・いわずもがなです。

 

 

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3.言語の長所と短所

長所は何?書き言葉としての言語は「文字」で紙とかに書かれてますね。ということは、明日には消えてなくなるとかいうことはないです。海岸の砂に書いた文字はさすがにすぐに波にのまれて跡形もなく消えてしまいますが。

それは置いといて、とにかく、「文字」の長所は長期間残ることです。例えば万葉集やらシェイクスピアの劇の台本やら、中国の三国志の物語やらが現代に伝わっているのも、「文字」が長期間残るという長所によるわけです。たとえば文字のない文化もあって、たとえばアイヌ文化は文字が無いんです。だから口承といって口伝えで先輩から後輩へ伝統が継承されてきたわけです。でも人間の記憶には限界が普通はあるから、よほど記憶力に長けた人がいないと文化や歴史の継承は難しいでしょうねぇ。いまさらりと「歴史」という単語を使いましたけど、「歴史」も「文字」の産物です。文字が無かったら歴史は書けません。その証に、縄文時代以前の日本の文化って歴史で習います?習いませんよね。「文字」が無いから史料が残ってないので歴史に記しようがないんです。だから「文字」は大切ですよ。

短所は何?「文字」の短所はずばり事実やできごと、事件、気持ちや思い、感情など、相手に伝えたかったり、残したかったりすることを完璧には記録できないことです。たくさん書いてきたから、少し「疲れてきました」。でも読者の皆さんは私が「どれだけ疲れているか」は分かりませんよね。そういうことです。疲れの程度が文字では伝わりません。頭も使うし、目も使うし、パチパチキーボードを打っているから指や腕も疲れるし・・・といういろいろな思いを「疲れてきました」という一文が背負っているんです。分かりますか?この一文がどれだけたくさんの責任を負っているかということを。「文字」は、長期間残るという長所をもっている代わりに、伝えたいことを完璧には表現しきれないという短所ももっています。

「文字」がもつ長所と短所を押さえておかないと、言語力は全然身に付かないですよ。

4.「読解する」とは、どうすることなの?

「読解する」とは、「文字」が背負っている責任を読者が一生懸命考えて推論して、明らかにすることです。

さきほどの「疲れてきました。」という文は、私(①主体。私という表記は日本語では普通は省く。)の疲れている(③様子)を文字そのものが表しています。文字を見だだけで読者は分かりますよね。でもこれは読解じゃないです。読解は、「どれだけ疲れたんだろう、どうして疲れたのだろう、どこが疲れたのだろう、疲れたのにどうしてまだ延々と書いているんだろう、この人の目的は何なのだろう、・・・」と読者の皆さんが私の書ききれていないことを一生懸命考えて推論して明らかにしてもらうことです。

私が生徒によく使う例は「遺言状」です。遺言状は、人が亡くなる前にしたためる最後のお別れの手紙でとても大切な文書です。遺言状が遺族の前に明らかになる時、既に書いた人は天国にいます。この大切な最後の文書を遺族は一生懸命故人の意思に沿うように一生懸命理解する努力をしなければなりません。なぜなら、故人はこの世にいませんので本人に聞けませんからね。

では、いったい何を一生懸命読み取る努力をしないといけないかと言うと、それは2.言語の役割で書いた①から⑭までの文書に書かれていない事柄がメインです。何を読み取らなければならないのか分からなければ途方にくれますが、目標が分かれば努力する気が起きませんか?

文章の「文字」→①から⑭の事柄を推認することが読解。

では、推認するってどうするのか?それは「条理(物事のすじみち)」にあてはめて推測することです。

大切なのは、「文字」から推認することです。逆をしてはいけませんよ。

5.条理(物事のみちすじ)の例

・人がしゃがんでいる→お腹がいたい、何か探している、疲れているなど

・子供が泣いている→迷子、悲しいことがあった、けんかした、なにかとても困っているなど。

・とても明るい笑顔だ→とても嬉しいことがあった、何かに成功したなど

・人が黙ったままでいる→何か考えている、困っている、人に言えない悩みがある、心を開いていない、落ち込んでいる、信用していない、など

・きょろきょろしている→好奇心にあふれている、落ち着きがない、そわそわしている、何かを探している、集中していないなど

このように限りなくあります。大切なのは、日常生活から条理は得られるもので、誰かに習うことの方が少ないと思います。ぼーっとしてると条理は身に付きません。あと、マンガばっかり、ユーチューブの動画ばっかりみてるとやっぱり条理は身に付きません。条理は文字と映像と画像のすべてがミックスされて身に付きます。体験からも身に付きます。でも最後は文字にして推認結果を書かないといけないから、文字は大切です。

小さい頃から読書することはとても大切ですよ。漫画やアニメ、ユーチューブばっかりみてたら条理は身に付かないです。ヒカキンさんとかの有名なユーチューバ―の人達も、たくさん読書しているはずです。でないといろいろな発想が出てこないと思いますから。あと一人で動画作成しているのではなく、複数の仲間と一緒に動画作成しているはずなので、企画会議や話合などが重要です。その場の雰囲気で作ることもあるでしょうけど、それだけではないと思います。

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6.まとめ

言語力は、文章を作る時にはもちろん必要です。しかし、せっかく書いても読者に言語力が備わってなければ全然伝えたいことも伝わりません。言語力は、読解する時にこそ大いに必要となるスキルです。語弊を恐れず言うと、あまり言語力の無い人でも文章は作れます。文法に多少の間違いがあったり綴り間違いがあっても、一応、文章は作れます。小学1年生でも、早ければ幼稚園児でも日記帳を書きます。

しかし、その日記を読む人の方が明らかに言語力が必要なのは、いわずもがなですよね。日記に「アサガオが咲きました。うれしかったです。」と小学1年生が日記に書いているのを読んで、大人が「ほう、アサガオが咲いて、嬉しかったんだね。」だけしか読み取りできなかったとしたら、その小学1年生はとてもかわいそうですよ。「いつ咲いたの?どこで咲いたの?自分で育てたの?なぜ育てたの?いつから育てたの?何色のアサガオ?・・・」といっぱい聞いてほしいことはあるはず。それを、残念なことにこの読解力の無い大人に日記を読まれたがために、何の問いかけをされることなく日記を書いて終わりになりました…この小学1年生は今後日記を書くことも嫌になるでしょうね。

つまり、言語力は社会でとても大切な力ということです。言語力は習うことはできません。自分の頭で一生懸命考えて初めて身に付くものです。考える素材は世の中にいっぱいあります。人間の必須の教養としての言語力を一緒にこつこつ磨いていこうではありませんか。

 

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